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経済指標の基礎知識
XMTrading Labo(XMラボ)では、金融市場に影響を与える重要な経済指標の基礎知識を分かりやすくまとめております。雇用統計や政策金利、消費者物価指数などの指標は、各国の経済動向を把握するために多くの投資家が注視しています。これらの知識を身に着けて取引に活かしましょう。
政策金利は、中央銀行が景気や物価の安定などを目的に決定するその国の基準となる金利であり、経済指標の中でも特に注目度が高いデータです。為替や株式など、幅広い金融商品に大きな影響を与えるため、トレードにファンダメンタルズ分析を取り入れるうえで政策金利の水準や変動は必ず押さえておく必要があります。
各国の政策金利の変動は、金融市場のみならず、その国の経済全体に影響を与えます。政策金利が私たちの生活や資産運用にどのような影響を与えるのかを正しく知っておくことで、様々なリスクを回避することが可能です。
本記事では、政策金利の基礎知識や相場への影響力、有効なトレード戦略など、政策金利について幅広く解説していきます。政策金利の発表は、FXトレードに取り組むうえで無視できない重要イベントなので、正しい知識を身につけておきましょう。
最初に、政策金利の基礎知識について解説します。政策金利がどんな経済指標で、為替市場にどのような影響を及ぼすかを理解することで、より高精度なファンダメンタルズ分析を行うことができます。政策金利の重要性や影響力を理解し、FXトレードに活用しましょう。
政策金利とは、景気や物価の安定などを目的に、中央銀行が金融政策の一環として定める短期金利(誘導目標金利)のことです。政策金利は、金融機関を利用する際の預金金利や貸出金利など、その国全体の金利に大きな影響を与えます。政策金利が変更されることで企業経営や家計に様々な影響を及ぼすことになるため、各国の経済指標の中で最も注目される重要指標としてトレーダーから注目されています。
政策金利を決定している中央銀行とは、国や地域の金融機構の中核を担う機関です。政策金利の決定の他に、紙幣の発行もできます。また、個人ではなく銀行などの金融機関にお金を貸し出すため「銀行のための銀行」とも呼ばれています。
政策金利は、各国の中央銀行が開く会合で決定されます。例えば、アメリカの場合は、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が年8回開催するFOMC(米連邦公開市場委員会)において政策金利が決定する仕組みです。
中央銀行は、景気や物価の動向に応じて政策金利を調整し、通貨の流通量をコントロールしています。景気が拡大してインフレ(物価上昇)傾向になると、経済の過熱を抑えるために政策金利を引き上げるのが一般的です。この「利上げ」は金融引き締め政策の一環として実施され、金利が上昇して企業や個人が資金を借りにくくなることで、経済の過熱が緩やかに抑えられます。
一方で、景気が後退してデフレ(物価下落)傾向になると、経済を刺激するために政策金利を引き下げます。この「利下げ」は金融緩和政策の一環として実施され、金利の低下によって企業や個人が資金を借りやすくなるため、設備投資や個人消費が拡大して経済の回復が促される仕組みです。
なお、政策金利の決定では、必ずしも利上げか利下げが実施されるとは限りません。経済情勢を慎重に見極めたい場合や変化が必要ないと判断された場合には、政策金利を現状の水準で維持する据え置きが決定されることもあります。
中央銀行が政策金利を変更する最大の目的は「物価と景気の安定化」を図るためです。インフレやデフレを抑制し、景気のバランスを適切に保つことで、経済の健全化を目指します。
政策金利の変更には様々な理由や目的がありますが、多くの国の中央銀行に共通する大きな目的は以下の2つです。
中央銀行が政策金利を変更する大きな理由の1つが、インフレ(物価上昇)やデフレ(物価下落)の抑制です。物価を安定させることは中央銀行が担う重要な役割の1つであるため、政策金利の調整によって物価を目標水準内にとどめるよう金融政策を実施します。
一般的に、好景気で個人消費が拡大すると、需要の増加によってモノやサービスの価格が上昇するインフレになります。インフレの状況では、物価の上昇で企業の利益が増え、さらに労働者の賃金が増加することに繋がるため、企業や消費者の購買意欲がさらに高まり、経済が活性化する好循環が発生する仕組みです。しかし、インフレによって経済が過熱しすぎると、物価上昇に歯止めがきかなくなり、お金の価値がどんどん下がってしまいます。そのため、中央銀行が利上げによって物価の上昇を抑え、過熱した経済を落ち着かせるための金融引き締め政策を実施します。
反対に、不景気で個人消費が縮小し、需要の減少によってモノやサービスの価格が下落する状態がデフレです。デフレの状況では、物価の下落で企業の利益が減り、さらに労働者の賃金が上がらず失業者の増加に繋がります。デフレによって企業や消費者の購買意欲が下がり経済が減速する悪循環が発生してしまうため、中央銀行が利下げを実施し、企業や個人がお金を借りやすい状態にします。
このように、中央銀行は物価や景気の動向を常に監視し、利上げと利下げのサイクルを繰り返すことで経済の安定化を図ります。インフレやデフレの傾向を確認するためには、各国が発表する経済指標の消費者物価指数(CPI)が最も重要視されるため、政策金利の発表とあわせて注目しましょう。
政策金利を変更する大きな理由のもう1つが、雇用の拡大です。雇用は個人消費や景気動向と密接に関わっているため、インフレ・デフレの抑制とともに、中央銀行は労働市場の動向を常に注視しています。
例えば、雇用者数が増えて失業者が減ると、収入を得てお金を使う人が増えるため、個人消費が増加します。個人消費が増加すると、物価が上がり企業の売上が伸びるため、好景気に向かう仕組みです。物価が上がり雇用が拡大している状況では、インフレ圧力がどんどん高まってしまうため、中央銀行は政策金利を引き上げて過熱した経済を落ち着かせることを検討します。
反対に、雇用者数が減って失業者が増えると、収入を得られずお金を節約する人が増えるため、個人消費が減少します。個人消費が減少すると、物価が下がり企業の売上が低迷するため、不景気に向かう仕組みです。物価が下がり雇用が減速している状況では、インフレ圧力が弱まり景気後退に向かってしまうため、中央銀行は政策金利を引き下げて停滞した経済を活性化することを検討します。このように、各国の政策金利の決定にはその国の雇用情勢が大きく関わるため、インフレ・デフレの動向とともに労働市場にも注目することが大切です。
景気を拡大させるためには、雇用者数の増加・失業者の減少・賃金の上昇など、労働市場を健全な状態にすることが必要です。各国の雇用情勢を確認するためには、経済指標の雇用統計が最も重要視されるため、あわせて注目しましょう。
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政策金利は、様々なローンの金利や物価に大きな影響を与えます。政策金利が変わると、私たちの普段の生活にも変化が表れるため、利上げや利下げがどのような影響を及ぼすのか理解しておくことが大切です。ここでは、政策金利によって「物価や景気」「様々なローン」「債券・株式・為替」にどのような影響があるのか詳しく解説します。
政策金利が変わると、物価や景気に大きく影響します。政策金利が引き上げられると、民間の銀行が中央銀行からお金を借りる際の資金調達コストが上がるため、民間の銀行は企業や個人にお金を貸す際の金利も引き上げます。企業や個人がお金を借りる際の金利が上がるとお金を借りにくくなり、企業の設備投資や個人の消費が減速するため、物価が徐々に下がっていき、景気が後退する仕組みです。
反対に、政策金利が引き下げられると民間銀行の資金調達コストが下がるため、企業や個人が借り入れる際の金利も下がります。その結果、企業の設備投資や個人の消費が拡大し、物価が徐々に上がって景気が拡大する仕組みです。
政策金利は物価や経済と密接に関わっており、利上げによって物価上昇と景気後退が促され、利下げによって物価下落と景気拡大に向かいます。物価や経済との関連性を理解すると、政策金利が変更された時に今後どのような方向に向かうのかがわかりやすくなるため、トレードにファンダメンタルズ分析を取り入れたい人は押さえておきましょう。
政策金利の変更は、様々なローンの金利にも大きな影響を与えます。ここでは、代表的な金利である「住宅ローン」と「預金金利」に与える影響について解説します。
政策金利の変動は、住宅ローンの金利に大きな影響を与えます。住宅ローンの金利のタイプには大きく分けて変動金利と固定金利がありますが、政策金利の影響を受けるのは変動金利です。
ここからは、日本の住宅ローン金利を例に見ていきましょう。日本の住宅ローンの変動金利は、銀行が優良企業に対して資金を貸し出す際に適用する「短期プライムレート」を基準に金利水準が決定します。短期プライムレートは政策金利の影響を受けるため、政策金利が変動すると住宅ローンの変動金利の水準も変わる仕組みです。
日本では、日銀が2024年3月にゼロ金利を解除し、2024年7月と2025年1月に利上げを実施しました。政策金利の引き上げに追随するかたちで、短期プライムレートの水準も上昇しています。
短期プライムレートの推移
| 変更時期 | 短期プライムレート(*1) |
|---|---|
| 2009年1月 | 1.475% |
| 2024年9月 | 1.625% |
| 2025年3月 | 1.875% |
日本の住宅ローンの変動金利は長年にわたって低水準が続いていましたが、2024年以降は日銀の利上げを背景に上昇しています。今後も日銀の金融政策によって変動金利が上昇することが考えられるため、新たに住宅ローンを借りる人や、すでに変動金利で住宅ローンを借りている人は、政策金利の動向に注目してみましょう。
短期プライムレートとは、銀行が信用力の高い優良企業に対して融資する際に適用する最優遇金利のことです。短期プライムレートは1年未満の短期で融資する際に適用される金利であり、1年以上の融資の場合は長期プライムレートが適用されます。
各銀行の変動型住宅ローンは、各銀行ごとに定める短期プライムレートの動きに連動して金利水準が変わる仕組みです。短期プライムレートは日銀が決める政策金利の水準に合わせて変動するため、住宅ローンの変動金利は政策金利の変動の影響を受けることになります。
政策金利は、銀行の預金金利の水準にも影響を与えます。政策金利が引き上げられると預金金利も上がるため、口座にお金を預け入れることでより多くの利息を受け取ることが可能です。反対に、政策金利が引き下げられると預金金利も下がるため、受け取る利息が減り、預金してもなかなかお金を増やすことができなくなります。
日本は世界的に見ても金利水準が低いため、預金で資産を増やすことはなかなか難しいのが実情です。それでも、預け入れた金額から元本割れする心配がないため、できるだけ損失リスクを避けたい人は定期預金などで資産運用を行うケースも珍しくありません。ただし、利下げで預金金利が下がると資産が増えにくくなるだけにとどまらず、物価が上昇していくことでお金の価値がどんどん下がってしまうリスクがあります。預金による資産運用を検討する場合は、利下げ局面でのリスクに注意しましょう。
政策金利が変わると、様々な金融商品の値動きに影響を与えます。「債券」「株式」「為替」はそれぞれ密接に関わっており、政策金利の変動に値動きが左右されやすいため、どのような影響を受けるのか確認しておきましょう。
政策金利が変動すると、債券の価格は逆の動きになることが特徴です。政策金利が引き上げられると、新たに発行される債券の利回りが高く設定されるため、既に発行済みの債券よりも魅力が高まり、新規債券を買う人が増えます。そうすると、既存の債券の魅力が下がり買う人が少なくなるため、債券価格が下がる仕組みです。
政策金利と債券の関係
| 銘柄 | 利上げ | 利下げ |
|---|---|---|
| 債券価格 | 低下 | 上昇 |
| 債券利回り | 上昇 | 低下 |
| 債券価格 | |
|---|---|
| 利上げ | 低下 |
| 利下げ | 上昇 |
| 債券利回り | |
| 利上げ | 上昇 |
| 利下げ | 低下 |
債券と金利は、逆相関の関係性にあることで知られています。政策金利の変動は債券価格に影響を与えるため、債券を保有する場合は政策金利の動向に注目することが大切です。ただし、債券価格に影響を与えるのは政策金利だけではなく、債券の需給や景気動向など、さまざまな要因が関連しています。債券を購入・保有する際は、政策金利を含むさまざまなファンダメンタルズ要因に注目しましょう。
政策金利の変動は、株価の動向に大きな影響を与えます。政策金利が引き下げられると、企業が銀行からお金を借り入れる際のコストが下がります。お金を借りやすくなると、企業は積極的に設備投資や様々な事業を拡大しやすくなるため、企業の売上増加が期待され、株価が上がりやすくなることが特徴です。
反対に、政策金利が引き上げられると、銀行からの借り入れコストが上がるため、企業がお金を借りにくくなります。そうすると、融資を受けられなかったり、事業拡大への期待感が下がったりするため、株価が下がりやすいことが特徴です。
金利低下で株価上昇
政策金利が下がると、企業の業績アップが期待されて、株価が上がる傾向があります。
金利上昇で株価下落
政策金利が上がると、企業の業績不振が懸念されて、株価が下がる傾向があります。
ただし、政策金利の変動による株価の動きは、銘柄によって異なる点に注意が必要です。例えば、金利が上がることで恩恵を受けやすい金融関連株は、利上げの可能性が高まると買われる傾向があります。また、輸入品を扱う業種では、国内の金利が上がり円高になるとコスト削減に繋がるため、業績アップを期待して株価が上がる場合があります。株式投資を始める際は、銘柄によって金利変化に対する反応が異なる点に注意しましょう。
XM 株価指数CFDの詳細はこちら政策金利の変動は、為替市場へ大きな影響を与えます。一般的に、お金は金利の低い資産から金利の高い資産の方へ集まる傾向があります。そのため、FXでは高金利通貨が買われやすく、低金利通貨が売られやすいことが特徴です。
FX通貨ペアは2ヵ国間の金利差によって売買のバランスが変わるため、政策金利の変動は値動きの方向性を判断する際の手掛かりになります。例えば、日本とアメリカを比較すると、低金利通貨である日本円よりも、米ドルの方が高金利通貨となります。日本の政策金利は変わらず、アメリカの政策金利が上がった場合、日米間の金利差が拡大し、USDJPY(米ドル/日本円)は上昇の勢いが強まる可能性があると予測することが可能です。一方で、アメリカの政策金利は変わらず、日本の政策金利が上がった場合、日米間の金利差が縮小し、USDJPY(米ドル/日本円)は下落しやすいと考えられます。
各国の通貨は、金利が上がると買われやすく、金利が下がると売られやすいため、政策金利の変動と相関性のある動きを示すことが特徴です。政策金利は為替レートに大きな影響を与えるため、FXトレードを行う際は必ずチェックしましょう。
各国の政策金利が変動すると、金融市場全体に大きな影響を与えます。政策金利の発表は経済指標の中でも特に重要度が高く、発表直後はその国の通貨や株価が大きく変動する可能性が高いため、あらかじめ経済指標カレンダーで発表スケジュールを確認しておくことが大切です。
政策金利の発表は、大きく分けて「政策金利の引き上げ(利上げ)」「政策金利の引き下げ(利下げ)」「政策金利の据え置き」の3つのパターンがあります。事前の織り込み度合いや同時に発表される声明文、政策金利発表後に開かれる中央銀行総裁の記者会見なども含めて総合的に判断する必要がありますが、一般的にはそれぞれのパターンで以下のような値動きの特徴があります。
政策金利が引き上げられると、その国の通貨は買われやすくなります。例えば、アメリカが利上げを行うと米ドルが買われやすくなるため、ドル高相場になりやすいことが特徴です。
政策金利は、発表までに次の金利水準が予想されるため、事前予想からある程度の値動きを相場に織り込む動きが広がります。相場への織り込みが進むほど発表後の値動きが限定的となる場合がありますが、それでも指標発表直後は短時間で急激な値動きが発生する可能性があります。
下記のチャートは、2023年6月15日にユーロ圏の政策金利が発表された時のEURUSD(ユーロ/米ドル)の15分足チャートです。欧州中央銀行(ECB)はこの会合で政策金利を4.00%まで引き上げ、8会合連続で利上げを決定しました。この時、ユーロ圏では消費者物価指数(CPI)が6%を超える高水準が続いており、物価抑制のために2022年7月から始まった利上げサイクルが継続している状況です。利上げを見越したユーロ高の動きはある程度相場に織り込まれており、発表直後の初動では50pips程度の値幅で上昇しました。その後の中銀総裁による記者会見で、次回会合での利上げも示唆されたことが上昇の勢いを強め、政策金利発表後の数時間ほどで約130pipsも上昇しています。
2023年6月15日のEURUSD(ユーロ/米ドル)15分足チャート
政策金利は、大きなサプライズもなく事前予想通りの結果が発表された場合、相場への織り込み度合いによっては値動きが限定的になる場合があります。しかし、それでも瞬間的に数十pips以上の急騰・急落が発生する可能性が高いため、政策金利発表直後の急変動には十分注意しましょう。
政策金利が引き下げられると、その国の通貨は売られやすくなります。例えば、アメリカが利下げを行うと米ドルが売られやすくなるため、ドル安相場になりやすいことが特徴です。
政策金利の発表内容は、事前の予想がすでに相場に織り込まれていることが多いため、結果が予想通りなら大きな値動きにはなりにくい傾向があります。しかし、実際に発表された結果が予想値と異なっていた場合、サプライズとなって大幅な値動きが発生する可能性が高い点に注意が必要です。
例えば、2025年10月8日にニュージーランドの政策金利が発表された時のNZDJPY(NZドル/日本)の値動きを例に挙げます。発表前には0.25%の利下げの可能性が高いと予想されていましたが、実際は通常よりも大幅な0.50%の利下げが発表されました。この結果がサプライズとなり、発表直後にNZドルが急速に売られたことで、NZDJPY(NZドル/日本)は約80pipsの急落が発生しています。
2025年10月8日のNZDJPY(NZドル/日本)15分足チャート
事前予想よりも大幅な利下げが発表された場合、その国の通貨がさらに売られやすくなり、利上げの場合も同様に買われやすくなります。結果がサプライズとなり想定以上の値動きが発生することが稀にある点に注意しましょう。
中央銀行が利上げや利下げを行う場合、多くの先進国では政策金利を0.25%ずつ変更することが一般的です。しかし、物価や経済の情勢が急速に変わった場合、これに対処するために通常よりも大幅な0.50%の変更が発表される場合があります。大幅な利上げや利下げは、通常よりも相場への影響が大きくなる可能性があるため、政策金利の発表前後の動向に注意しましょう。
政策金利が据え置きと発表された場合、事前の相場への織り込み度合いや今後の金融政策の見通し次第で様々な反応を示す可能性があります。
例えば、2025年5月7日にアメリカの政策金利が発表された時のUSDJPY(米ドル/日本円)の値動きに注目してみましょう。2025年5月の会合では、事前予想通り、政策金利を据え置くことが発表されました。発表直後は約50pips程度の乱高下が生じ、方向感のないまま小幅に下落しましたが、政策金利発表後の中央銀行総裁による記者会見が始まると、買いの勢いを強めています。この会見の内容から、物価や景気の状況を確認するため当面の間は据え置きが続く可能性が高まったため、しばらくは利下げの可能性がないという予想で米ドルが買われたと考えることができます。
2025年5月7日のUSDJPY(米ドル/日本円)15分足チャート
政策金利が据え置きとなった場合、どういった理由で据え置かれたのか、いつまで据え置きが続くのか、といった情報に注目するのがポイントです。政策金利発表後の相場は、数値だけではなく今後の金融政策の見通しによって値動きが左右される可能性が高いため、声明文や記者会見の内容もしっかり確認しましょう。
一般的に、政策金利が上がると通貨が買われやすくなり、政策金利が下がると通貨が売られやすくなる傾向がありますが、必ずしもそうなるとは限りません。下記のチャートは、2023年9月14日にユーロ圏の政策金利が発表された時のEURUSD(ユーロ/米ドル)の15分足チャートです。欧州中央銀行(ECB)は0.25%の利上げを発表しましたが、発表後にユーロが売られ、EURUSD(ユーロ/米ドル)は90pips以上の値幅で下落しています。
2023年9月14日のEURUSD(ユーロ/米ドル)15分足チャート
発表前に事前予想に対する値動きが織り込まれており、発表後も大きなサプライズがなかった場合、新しい材料が見つからずそれ以上の反応に繋がらない場合があります。また、利上げが決定しても、声明文や中銀総裁の記者会見で弱気な見通しが示されたり、これ以上の利上げの可能性がないと判断された場合、売りが強まる場合がある点に注意が必要です。政策金利発表時のトレードでは、必ずしも利上げで買われて利下げで売られるとは限らないこと念頭に置いて、慎重に値動きを見極めましょう。
各国の政策金利の決定には、様々な経済データが判断材料として利用されます。各国ごとに毎月多くの経済指標が発表されますが、中央銀行が政策金利を決定するうえで特に重要視している経済指標に注目することで、その国の政策金利の変動や金融政策の方向性を予測することが可能です。
金融関係者やトレーダーが政策金利を予測するうえで特に注目する経済データは、「消費者物価指数(CPI)」「雇用統計」「要人発言」です。それぞれの指標の内容や重要なポイントを確認し、ファンダメンタルズ分析に活用しましょう。
政策金利を決定するうえで最も注目される経済指標の1つは、消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index:)です。CPIとは、消費者が購入する商品やサービスの価格動向を指数で示した経済指標で、その国のインフレ率の動向を確認するための非常に重要な指標として注目されています。
多くの国では、金融政策を進めるうえで物価上昇率の目標水準を設定しており、この物価上昇率の基準となるのがCPIの数値です。CPIが目標水準を上回る状況が続くと、物価上昇圧力が強いと判断され、政策金利を引き上げてインフレを抑制する引き締め的な政策をとります。反対に、CPIが目標水準を下回る状況が続くと、政策金利を引き下げて消費拡大を促す緩和的な政策を打ち出すことになります。CPIの推移は、各国の中央銀行が金融政策を判断するための重要な指標となるため、政策金利の変動を予測する場合はCPIを必ずチェックしましょう。
各国の政策金利の推移を予測するためには、雇用統計にも注目しましょう。雇用統計とは、各国の雇用に関する様々なデータをまとめた経済指標のことです。その国で雇用されている人数の増減や失業者数の変動を確認できるため、各国の労働市場の動向を把握するうえで最も重要な指標として注目されています。
雇用状況は、その国の景気動向と密接に関わっているため、各国の景気見通しを判断するうえで重要なデータです。労働者数が増えて失業者数が減ると、働いて得たお金を使う人の割合が増えるため、個人消費が増加して景気が拡大することが期待されます。反対に、労働者数が減って失業者数が増えると、収入を得られずお金を節約する人の割合が増えるため、個人消費が減少して景気が後退する可能性が高まると判断されます。各国の政策金利の決定には労働市場の動向が大きな影響を与えるため、雇用統計の結果も確認しましょう。
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各国の政策金利を予測する場合、その国の金融関係者や政府関係者による要人発言が大きな手掛かりとなる場合があります。影響力が大きい要人の発言は、消費者物価指数(CPI)や雇用統計と同様に相場を大きく動かす可能性があるため、経済指標とあわせて注目しましょう。
要人発言で特に相場への影響が大きい内容の1つに、物価の適正水準に対して現状はどのような水準であるかというものがあります。例えば、中央銀行や政府関係者が「物価が高い」と発言した場合、市場では「インフレを抑えるために利上げが行われるかもしれない」と受け止められることがあります。その結果、通貨が買われ、株が売られるなど、要人発言がきっかけで相場が大きく動くことがあるため、こうした反応の仕組みを理解しておくことが大切です。
また、各国の要人発言は講演やインタビューなどのタイミングで定期的に実施されますが、特に注目されやすいのが国際会議での発言です。各国の財務省や中央銀行の関係者が集う国際会議では、金融政策に関する話題が活発に議論されるため、市場参加者からの注目度も高まります。特に、以下のような国際会議での発言は政策金利を予測するうえで材料視されやすく、相場の値動きに影響を与える可能性が高い点に注意が必要です。
重要度が高い要人発言が予定されている場合、市場では様子見ムードが広がり、発言前の取引が控えられることが少なくありません。その後、発言内容が伝わると市場の反応を受けて相場が大きく動くケースも見られます。こうした急変動による損失を防ぐためにも、あらかじめ経済指標カレンダーで予定を確認し、十分なリスク管理を心がけましょう。
XMラボでは、重要指標や政策金利の発表など、相場への影響力が大きい経済イベントが予定されている際に、発表時間を事前にお知らせするプッシュ通知サービスをご利用いただけます。また、USDJPY(米ドル/日本円)やゴールド(GOLD)などの特定銘柄で一定の価格変動が発生したことをお知らせするアラート機能もご用意しており、トレードチャンスを逃さずチェックすることが可能です。お得なボーナスキャンペーンの情報も定期的に配信しておりますので、XMラボのプッシュ通知をオンに設定し、効率的にトレードに挑みましょう。
政策金利の水準や推移は、各国によって大きく異なります。目標とする物価水準や金融政策も様々なので、その国の中央銀行が目標とする水準や重視する政策を理解することが大切です。ここでは、主要国の政策金利の特徴やこれまでの推移について解説するので、各国通貨の値動きを予測する際の参考にしてみてください。
主要国の政策金利一覧(2025年10月現在)(*1)
| 発表国 | 政策金利(2025年10月時点) | 発表機関 |
|---|---|---|
| アメリカ | 4.25% | 連邦準備制度理事会(FRB) |
| 日本 | 0.50% | 日本銀行(BOJ) |
| ユーロ圏 | 2.15% | 欧州中央銀行(ECB) |
| イギリス | 4.00% | イングランド銀行(BOE) |
|---|---|---|
| オーストラリア | 3.60% | オーストラリア準備銀行(RBA) |
| ニュージーランド | 2.50% | ニュージーランド準備銀行(RBNZ) |
| スイス | 0.00% | スイス国立銀行(SNB) |
| カナダ | 2.50% | カナダ銀行(BOC) |
| アメリカ | |
|---|---|
| 政策金利 | 4.25% |
| 発表機関 | 連邦準備制度理事会(FRB) |
| 日本 | |
|---|---|
| 政策金利 | 0.50% |
| 発表機関 | 日本銀行(BOJ) |
| ユーロ圏 | |
| 政策金利 | 2.15% |
| 発表機関 | 欧州中央銀行(ECB) |
| イギリス | |
| 政策金利 | 4.00% |
| 発表機関 | イングランド銀行(BOE) |
| オーストラリア | |
| 政策金利 | 3.60% |
| 発表機関 | オーストラリア準備銀行(RBA) |
| ニュージーランド | |
| 政策金利 | 2.50% |
| 発表機関 | ニュージーランド準備銀行(RBNZ) |
| スイス | |
| 政策金利 | 0.00% |
| 発表機関 | スイス国立銀行(SNB) |
| カナダ | |
| 政策金利 | 2.50% |
| 発表機関 | カナダ銀行(BOC) |
アメリカの政策金利は、中央銀行である「連邦準備制度理事会(FRB:Federal Reserve Board)」が決定します。世界最大の経済大国であるアメリカの政策金利の変動は、世界経済に大きな影響を与えます。世界中の金融関係者や投資家が注目する重要な経済データなので、FXトレードや株式投資を行う人は必ず押さえておきましょう。
アメリカの政策金利は、年8回開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)で決定します。FOMCとは、「Federal Open Market Committee」の略で、アメリカの金融政策を決定するために開かれる会合のことです。FOMCは、FRBの理事や各地区の連邦準備銀行総裁などの計12名のメンバーで構成されており、投票による多数決で政策金利を決定します。そのため、投票権をもつメンバーの金融政策スタンスを予め把握しておくことが重要です。
FOMCは、通常2日間にわたって開催され、最終日となる2日目に政策金利の発表と声明文の公開、FRB議長による記者会見が行われます。2025年のFOMC開催スケジュールは以下の通りです。
2025年のFOMC開催スケジュール
| 開催回 | 日程 | 発表時間 |
|---|---|---|
| 第1回 | 1月28日~29日 |
原則、日本時間28時00分 (夏時間は27時00分) |
| 第2回 | 3月18日~19日 | |
| 第3回 | 5月6日~7日 | |
| 第4回 | 6月17日~18日 | |
| 第5回 | 7月29日~30日 | |
| 第6回 | 9月16日~17日 | |
| 第7回 | 10月28日~29日 | |
| 第8回 | 12月9日~10日 |
| 第1回 | |
|---|---|
| 日程 | 1月28日~29日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間28時00分 (夏時間は27時00分) |
| 第2回 | |
|---|---|
| 日程 | 3月18日~19日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間28時00分 (夏時間は27時00分) |
| 第3回 | |
| 日程 | 5月6日~7日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間28時00分 (夏時間は27時00分) |
| 第4回 | |
| 日程 | 6月17日~18日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間28時00分 (夏時間は27時00分) |
| 第5回 | |
| 日程 | 7月29日~30日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間28時00分 (夏時間は27時00分) |
| 第6回 | |
| 日程 | 9月16日~17日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間28時00分 (夏時間は27時00分) |
| 第7回 | |
| 日程 | 10月28日~29日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間28時00分 (夏時間は27時00分) |
| 第8回 | |
| 日程 | 12月9日~10日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間28時00分 (夏時間は27時00分) |
アメリカの政策金利は、フェデラル・ファンド(FF)金利と呼ばれ、民間銀行同士が資金をやり取りする際に利用される短期金利のことを指します。他の主要国とは異なり、「4.00%~4.25%」のように、上限金利と下限金利で0.25%の幅をもたせた誘導目標レートに設定されることが特徴です。FRBは、年8回開催されるFOMC会合ごとにFF金利の誘導目標を決定し、市場に流通するお金の量をコントロールします。景気が後退している時はFF金利を下げて市場に流れるお金の量を増やし、反対に景気が過熱している時はFF金利を上げて市場に流れるお金の量を減らします。
FRBが掲げる2大責務は、「物価の安定」と「雇用の最大化」です。物価目標を前年同月比2%に設定しており、目標水準付近で物価が安定するよう政策金利の水準を調整します。アメリカの物価の推移を確認するための最も重要な指標は消費者物価指数(CPI)、雇用情勢を確認する最も重要な指標は雇用統計となるため、関連性の高い経済指標にも注目しましょう。
アメリカでは、2008年に発生したリーマン・ショック後の景気回復を支えるために、2008年から2015年まで政策金利をほぼゼロに近い水準まで引き下げました。その後は景気回復と物価上昇の兆候がみられたことから、段階的に政策金利を引き上げる利上げサイクルへと移行しています。しかし、コロナショックによって経済が減速したため、2020年3月に再びゼロに近い水準まで引き下げられました。経済の回復と物価の上昇が確認されたため、2022年3月からは再び政策金利を引き上げ、2023年7月から2024年8月までの約1年間は5.25%~5.50%の高い金利水準を維持しています。
アメリカの政策金利の推移(*1)
このように、FRBは政策金利の調整によって過熱した経済を抑えたり、停滞した経済を底上げしたりする金融政策を実施します。アメリカの政策金利が上がると、アメリカの通貨である米ドルの需要が高まり、為替市場では低金利通貨から金利が高い米ドルへ資金が流れやすくなることが特徴です。世界の基軸通貨である米ドルの金利が変動すると、米ドルが直接関連しない通貨ペアや金融商品の取引にも影響が及ぶため、アメリカの政策金利の動向には特に注目しておきましょう。
日本の政策金利は、中央銀行である「日本銀行(BOJ:Bank of Japan)」が決定します。私たちの生活に大きな影響を与える日本の政策金利の特徴や仕組みを理解し、各国との金利差を活用した有利なFXトレードを実践しましょう。
日本の政策金利は、年8回開催される金融政策決定会合で決定します。日本の金融政策決定会合はアメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)に相当し、日銀総裁と副総裁を含む計9名のメンバーによって審議・決定されます。会合は2日間にわたって開催され、2日目の会合終了後となる日本時間正午頃に政策金利の発表と声明文の公表、さらにその後は日銀総裁による記者会見が行われるのが特徴です。2025年の金融政策決定会合開催スケジュールは以下の通りです。
2025年の金融政策決定会合開催スケジュール
| 開催回 | 日程 | 発表時間 |
|---|---|---|
| 第1回 | 1月23日~24日 | 原則、日本時間正午頃 |
| 第2回 | 3月18日~19日 | |
| 第3回 | 4月30日~5月1日 | |
| 第4回 | 6月16日~17日 | |
| 第5回 | 7月30日~31日 | |
| 第6回 | 9月18日~19日 | |
| 第7回 | 10月29日~30日 | |
| 第8回 | 12月18日~19日 |
| 第1回 | |
|---|---|
| 日程 | 1月23日~24日 |
| 発表時間 | 原則、日本時間正午頃 |
| 第2回 | |
|---|---|
| 日程 | 3月18日~19日 |
| 発表時間 | 原則、日本時間正午頃 |
| 第3回 | |
| 日程 | 4月30日~5月1日 |
| 発表時間 | 原則、日本時間正午頃 |
| 第4回 | |
| 日程 | 6月16日~17日 |
| 発表時間 | 原則、日本時間正午頃 |
| 第5回 | |
| 日程 | 7月30日~31日 |
| 発表時間 | 原則、日本時間正午頃 |
| 第6回 | |
| 日程 | 9月18日~19日 |
| 発表時間 | 原則、日本時間正午頃 |
| 第7回 | |
| 日程 | 10月29日~30日 |
| 発表時間 | 原則、日本時間正午頃 |
| 第8回 | |
| 日程 | 12月18日~19日 |
| 発表時間 | 原則、日本時間正午頃 |
日本の政策金利は無担保コールレート(オーバーナイト物)と呼ばれ、コール市場で金融機関同士が無担保で行う取引に適用される短期金利のことです。無担保コール翌日物金利とも呼ばれ、短期金利の指標となるため、預金金利や様々なローン金利を決定する際の基準となります。
日銀は、物価安定の目標水準を前年同月比2%と定めており、この物価目標に近づけるための金融政策を実施します。日本の物価上昇率は、世界的なインフレが加速した2022年4月から2%を超える水準が続いており、2025年初頭には4%まで上昇しました。2025年後半にかけては上昇率拡大のピークが過ぎ、徐々に低下しています。
日本の政策金利は、世界の中でも低水準であることが知られています。日本では、1990年代のバブル崩壊以降、景気後退とデフレを下支えするためにゼロ金利政策を導入していたのが大きな特徴です。また、2016年1月から2024年3月まではマイナス金利を導入しており、金融機関が積極的に資金の貸し出しや投資にお金を回すよう促すことで、景気回復とデフレの解消を目指しました。2024年3月の金融政策決定会合で、日銀が目指す物価目標水準を達成できる状況であると判断されたことで、マイナス金利が解除されています。
日本の政策金利の推移
2020年代には、歴史的な円安で米ドル/円(USDJPY)が1ドル=160円に達する動きが見られました。急速な円安の進行には様々な要因が関連していますが、最も大きな要因となったのが日米の金利差の拡大です。日本は2024年3月までマイナス金利を維持していましたが、アメリカや他の主要国では、深刻なインフレを抑えるために、金融引き締め政策によって政策金利が引き上げられています。例えば、米ドル/円(USDJPY)が最初に160円台に達した2024年4月には、日本の政策金利がほぼゼロに近い水準であった一方で、アメリカの政策金利は5.25-5.50%の高水準に引き上げられています。為替相場では、金利の高い通貨を買って金利の低い通貨を売る動きが生じるため、高金利通貨の米ドルに資金が集まる一方で低金利通貨の日本円がどんどん売られ、その結果、大幅な円安に繋がりました。
2024年以降は、世界的に過熱したインフレが抑えられ、多くの国で政策金利を引き下げる動きが広がっていますが、それでも日本の政策金利は主要国の中でも低水準となっています。FXトレードでは、このような通貨間の金利差によるスワップポイントを狙った取引が可能です。スワップポイントの運用に挑戦してみたい人は、低金利通貨の日本円に注目し、政策金利の動向をチェックしてみましょう。
ユーロ圏の政策金利は、中央銀行である「欧州中央銀行(ECB:European Central Bank)」が決定します。ユーロ圏では、ECBが年8回開催するECB理事会で、加盟国のうち19ヵ国の中銀総裁や理事による投票で政策金利が決定されます。2025年のECB理事会開催スケジュールは以下の通りです。
2025年のECB理事会開催スケジュール
| 開催回 | 日程 | 発表時間 |
|---|---|---|
| 第1回 | 1月30日 |
原則、日本時間22時15分 (夏時間は21時15分) |
| 第2回 | 3月6日 | |
| 第3回 | 4月17日 | |
| 第4回 | 6月5日 | |
| 第5回 | 7月24日 | |
| 第6回 | 9月11日 | |
| 第7回 | 10月30日 | |
| 第8回 | 12月18日 |
| 第1回 | |
|---|---|
| 日程 | 1月30日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間22時15分 (夏時間は21時15分) |
| 第2回 | |
|---|---|
| 日程 | 3月6日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間22時15分 (夏時間は21時15分) |
| 第3回 | |
| 日程 | 4月17日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間22時15分 (夏時間は21時15分) |
| 第4回 | |
| 日程 | 6月5日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間22時15分 (夏時間は21時15分) |
| 第5回 | |
| 日程 | 7月24日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間22時15分 (夏時間は21時15分) |
| 第6回 | |
| 日程 | 9月11日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間22時15分 (夏時間は21時15分) |
| 第7回 | |
| 日程 | 10月30日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間22時15分 (夏時間は21時15分) |
| 第8回 | |
| 日程 | 12月18日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間22時15分 (夏時間は21時15分) |
ユーロ圏の政策金利は、「主要リファイナンス・オペ金利」「限界貸出金利」「預金ファシリティ金利」の3つの主要政策金利で構成されていることが特徴です。3つの金利はそれぞれ数値が異なるため、ユーロ圏の政策金利を確認する際は、金利ごとの数値を間違えないよう注意しましょう。ユーロ圏の3つの主要政策金利の詳細は、以下の通りです。
ユーロ圏の3つの主要政策金利
| 金利 | 内容 |
|---|---|
| 主要リファイナンス・オペ金利 | 中央銀行が行う公開市場操作で、国債を担保に資金を供給する際に適用される金利。ユーロ圏の政策金利の中心レートとなる。 |
| 限界貸出金利 | 資金が必要な金融機関がECBから借り入れる際に適用される金利。ユーロ圏の政策金利の上限金利となる。 |
| 預金ファシリティ金利 | 金融機関が中央銀行に余剰資金を預け入れる際に適用される金利。ユーロ圏の政策金利の下限金利となる。 |
ユーロ圏の政策金利は、3つの金利を代表して中心レートの主要リファイナンス・オペ金利の水準が取り上げられることが多くあります。2014年から2022年まではマイナス金利が導入されていましたが、加速するインフレを抑えるために、2023年9月には政策金利が4.50%まで上昇しました。
ユーロ圏の政策金利の推移(*1)
ECBは、物価目標を前年同月比2%と定めており、物価安定を第一の目的として金融政策を進めることが特徴です。物価の安定を最優先事項としたうえで、雇用や経済成長を支える政策も打ち出し、政策金利を決定します。物価を重視するECBの政策金利は、消費者物価指数(CPI)の結果が政策判断の重要なデータとなります。ユーロ圏全体のCPIや、ユーロ圏内でも特に大きな経済規模を誇るドイツとフランスのCPIに注目し、政策金利の水準を予測してみましょう。
イギリスの政策金利は、中央銀行である「イングランド銀行(BOE:Bank of England)」が決定します。イギリスでは、BOEが年8回開催する金融政策委員会(MPC:Monetary Policy Committee)で、BOE総裁や副総裁を含む計9名のメンバーによる多数決で政策金利を決定することが特徴です。
イギリスのMPCは、年8回開催されるうちの4回(2月・5月・8月・11月)の会合で、政策金利と同時に金融政策報告書を公表します。四半期ごとに公表される金融政策報告書には、現状と今後の物価や経済の見通しが記載されているため、通常の会合よりも注目度が高い傾向があります。2025年のMPC開催スケジュールは以下の通りです。
2025年のMPC開催スケジュール
| 開催回 | 日程 | 発表時間 |
|---|---|---|
| 第1回 | 2月6日 |
原則、日本時間21時00分 (夏時間は20時00分) |
| 第2回 | 3月20日 | |
| 第3回 | 5月8日 | |
| 第4回 | 6月19日 | |
| 第5回 | 8月7日 | |
| 第6回 | 9月18日 | |
| 第7回 | 11月6日 | |
| 第8回 | 12月18日 |
| 第1回 | |
|---|---|
| 日程 | 2月6日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間21時00分 (夏時間は20時00分) |
| 第2回 | |
|---|---|
| 日程 | 3月20日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間21時00分 (夏時間は20時00分) |
| 第3回 | |
| 日程 | 5月8日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間21時00分 (夏時間は20時00分) |
| 第4回 | |
| 日程 | 6月19日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間21時00分 (夏時間は20時00分) |
| 第5回 | |
| 日程 | 8月7日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間21時00分 (夏時間は20時00分) |
| 第6回 | |
| 日程 | 9月18日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間21時00分 (夏時間は20時00分) |
| 第7回 | |
| 日程 | 11月6日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間21時00分 (夏時間は20時00分) |
| 第8回 | |
| 日程 | 12月18日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間21時00分 (夏時間は20時00分) |
イギリスの政策金利は、中央銀行の準備預金金利であるBank Rate(バンクレート)のことを指し、主要国の中でも金利が高い傾向にあります。そのため、銀行預金やFXのスワップポイント運用など、金利を重視した運用を検討している人に注目されやすい点が特徴です。
イギリスの政策金利の推移
BOEは、物価目標を前年同月比2%に設定しており、目標水準に近づけるために政策金利を変更します。世界的にインフレが加速した2022年から2023年にかけては、物価水準が10%を超える高水準の状況が続き、政策金利が5.25%まで引き上げられました。2023年後半には物価の高止まりのピークが過ぎ、2024年8月からは緩やかな利下げサイクルに入っています。
イギリスの通貨である英ポンドは値動きのボラティリティが拡大しやすい特徴があるため、政策金利の変動によって投機的な売買が増加すると、短時間で大幅な値動きが発生する可能性があります。政策金利の発表後を狙ってトレードする場合は、想定以上の大幅な損失が発生しないよう、リスク管理には十分注意しましょう。
オーストラリアの政策金利は、中央銀行である「オーストラリア準備銀行(RBA:Reserve Bank of Australia)」が決定します。オーストラリアでは、RBAが年8回開催する金融政策委員会で、RBA総裁や副総裁を含む計9名のメンバーによる多数決で政策金利を決定します。2025年の金融政策委員会開催スケジュールは以下の通りです。
2025年の金融政策委員会開催スケジュール
| 開催回 | 日程 | 発表時間 |
|---|---|---|
| 第1回 | 2月18日 |
原則、日本時間13時30分 (夏時間は12時30分) |
| 第2回 | 4月1日 | |
| 第3回 | 5月20日 | |
| 第4回 | 7月8日 | |
| 第5回 | 8月12日 | |
| 第6回 | 9月30日 | |
| 第7回 | 11月4日 | |
| 第8回 | 12月9日 |
| 第1回 | |
|---|---|
| 日程 | 2月18日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間13時30分 (夏時間は12時30分) |
| 第2回 | |
|---|---|
| 日程 | 4月1日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間13時30分 (夏時間は12時30分) |
| 第3回 | |
| 日程 | 5月20日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間13時30分 (夏時間は12時30分) |
| 第4回 | |
| 日程 | 7月8日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間13時30分 (夏時間は12時30分) |
| 第5回 | |
| 日程 | 8月12日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間13時30分 (夏時間は12時30分) |
| 第6回 | |
| 日程 | 9月30日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間13時30分 (夏時間は12時30分) |
| 第7回 | |
| 日程 | 11月4日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間13時30分 (夏時間は12時30分) |
| 第8回 | |
| 日程 | 12月9日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間13時30分 (夏時間は12時30分) |
オーストラリアの政策金利は、銀行間取引の翌日物貸出金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)の誘導目標のことを指します。先進国の中でも金利が高い傾向にあるため、オーストラリアの通貨である豪ドルは、高金利通貨として人気が高いことが特徴です。
オーストラリアの政策金利の推移
RBAは、物価目標を前年同月比2~3%の目標レンジとして定めています。インフレ率を目標水準内に収めるために政策金利を調整しており、物価上昇圧力が落ち着いた2024年8月からは、目標レンジ内での推移が続いています。
オーストラリア経済は、輸出・輸入の貿易相手国第1位である中国の景気動向に左右されやすい点が大きな特徴です。中国経済に関するポジティブなニュースが伝わると豪ドル高になりやすく、反対に中国経済に関するネガティブなニュースが伝わると豪ドル安になりやすい傾向があります。オーストラリアの景気動向や豪ドルの値動きを分析する際は、中国の経済指標にも注目しましょう。
ニュージーランドの政策金利は、中央銀行である「ニュージーランド準備銀行(RBNZ:Reserve Bank of New Zealand)」が決定します。ニュージーランドでは、RBNZが年7回開催する金融政策委員会で、RBNZ総裁や副総裁を含む6名のメンバーによって政策金利が決定されます。2025年の金融政策委員会開催スケジュールは以下の通りです。
2025年の金融政策委員会開催スケジュール
| 開催回 | 日程 | 発表時間 |
|---|---|---|
| 第1回 | 2月19日 |
原則、日本時間11時00分 (夏時間は10時00分) |
| 第2回 | 4月9日 | |
| 第3回 | 5月28日 | |
| 第4回 | 7月9日 | |
| 第5回 | 8月20日 | |
| 第6回 | 10月8日 | |
| 第7回 | 11月26日 |
| 第1回 | |
|---|---|
| 日程 | 2月19日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間11時00分 (夏時間は10時00分) |
| 第2回 | |
|---|---|
| 日程 | 4月9日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間11時00分 (夏時間は10時00分) |
| 第3回 | |
| 日程 | 5月28日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間11時00分 (夏時間は10時00分) |
| 第4回 | |
| 日程 | 7月9日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間11時00分 (夏時間は10時00分) |
| 第5回 | |
| 日程 | 8月20日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間11時00分 (夏時間は10時00分) |
| 第6回 | |
| 日程 | 10月8日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間11時00分 (夏時間は10時00分) |
| 第7回 | |
| 日程 | 11月26日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間11時00分 (夏時間は10時00分) |
ニュージーランドの政策金利は、市中銀行の翌日物貸出金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)の誘導目標のことを指します。2008年のリーマンショック前までは、政策金利が8%を超える高い水準まで上昇しており、世界的にも高金利で知られていました。現在も、主要国の中では比較的高い金利水準を維持しています。
ニュージーランドの政策金利の推移
RBNZは、物価目標を前年同月比1~3%の目標レンジとして設定しています。主要国の中では目標レンジがやや広めに設定されており、コロナショック後の大幅なインフレが落ち着いた2024年後半からは、目標範囲内での推移が続きました。
ニュージーランドは、地理的な要因から隣国のオーストラリアと経済情勢や通貨の値動きが似ている点が特徴です。ニュージーランドの主要貿易相手国の第1位が中国であるため、オーストラリアと同様に、中国経済の動向に大きく左右される傾向があります。ニュージーランドの景気動向を確認する際は、オーストラリアや中国の動向にも注目しましょう。
スイスの政策金利は、中央銀行である「スイス国立銀行(SNB:Swiss National Bank)」が決定します。スイスでは、3月・6月・9月・12月に開催される年4回の金融政策委員会で政策金利が決定されます。他の主要国よりも発表回数が少なく、四半期に一度のペースで政策金利が決定されることが特徴です。2025年の金融政策委員会開催スケジュールは以下の通りです。
2025年の金融政策委員会開催スケジュール
| 開催回 | 日程 | 発表時間 |
|---|---|---|
| 第1回 | 3月20日 |
原則、日本時間17時30分 (夏時間は16時30分) |
| 第2回 | 6月19日 | |
| 第3回 | 9月25日 | |
| 第4回 | 12月11日 |
| 第1回 | |
|---|---|
| 日程 | 3月20日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間17時30分 (夏時間は16時30分) |
| 第2回 | |
|---|---|
| 日程 | 6月19日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間17時30分 (夏時間は16時30分) |
| 第3回 | |
| 日程 | 9月25日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間17時30分 (夏時間は16時30分) |
| 第4回 | |
| 日程 | 12月11日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間17時30分 (夏時間は16時30分) |
スイスの政策金利であるSNBポリシーレートは、日本と同様に世界各国の中でも低金利として知られています。スイスは、2014年から2022年まで8年近くもマイナス金利を続けています。2022年9月には政策金利を0.50%まで引き上げ、利上げサイクルに入りましたが、2025年に入ると政策金利が再び0%まで引き下げられ、ゼロ金利になりました。長らくマイナス金利を続けてきた日本が2024年に利上げを行い、現在はゼロ金利を上回る水準を維持しているため、2025年3月からはスイスの政策金利が世界最低金利となっています。
スイスの政策金利の推移
SNBは、物価目標を前年同月比2%以下に定めていますが、2024年9月以降は1%を下回る低水準が続いています。2025年5月にはゼロを下回る-0.1%までインフレ率が下がったため、SNBは同月に開催された会合でゼロ金利まで引き下げることを決定しました。
スイスの通貨であるスイスフランは、通貨の中でも「安全資産」として認識されていることが大きな特徴です。安全資産は、市場でリスクオフが意識された時に買われやすく、反対にリスクオンが意識された時に売られやすい傾向があります。そのため、スイスの経済情勢と大きな関連性がなくてもスイスフランが買われたり売られたりする点に注意が必要です。スイス経済の動向やスイスフランの値動きを分析する際は、市場のリスク動向にも注目しましょう。
カナダの政策金利は、中央銀行である「カナダ銀行(BOC:Bank of Canada)」が決定します。カナダでは、BOCが年8回開催する金融政策委員会で、総裁や副総裁を含む政策委員メンバーによって決定されます。2025年の金融政策委員会開催スケジュールは以下の通りです。
2025年の金融政策委員会開催スケジュール
| 開催回 | 日程 | 発表時間 |
|---|---|---|
| 第1回 | 1月29日 |
原則、日本時間23時45分 (夏時間は22時45分) |
| 第2回 | 3月12日 | |
| 第3回 | 4月16日 | |
| 第4回 | 6月4日 | |
| 第5回 | 7月30日 | |
| 第6回 | 9月17日 | |
| 第7回 | 10月29日 | |
| 第8回 | 12月10日 |
| 第1回 | |
|---|---|
| 日程 | 1月29日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間23時45分 (夏時間は22時45分) |
| 第2回 | |
|---|---|
| 日程 | 3月12日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間23時45分 (夏時間は22時45分) |
| 第3回 | |
| 日程 | 4月16日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間23時45分 (夏時間は22時45分) |
| 第4回 | |
| 日程 | 6月4日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間23時45分 (夏時間は22時45分) |
| 第5回 | |
| 日程 | 7月30日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間23時45分 (夏時間は22時45分) |
| 第6回 | |
| 日程 | 9月17日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間23時45分 (夏時間は22時45分) |
| 第7回 | |
| 日程 | 10月29日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間23時45分 (夏時間は22時45分) |
| 第8回 | |
| 日程 | 12月10日 |
| 発表時間 |
原則、日本時間23時45分 (夏時間は22時45分) |
カナダの政策金利は、翌日物金利の誘導目標のことを指します。世界的なコロナパンデミックが拡大した2020年3月には政策金利が0.25%まで引き下げられましたが、2022年3月からは利上げ局面に入りました。2023年7月から2024年4月までは政策金利を5.0%の高水準で維持しており、物価上昇圧力の弱まったことを背景に、2024年4月には主要各国の中で最初に利下げ局面に入っています。
カナダの政策金利の推移
BOCは、物価目標を前年同月比2%に設定しています。2022年には8%を超える水準まで上昇しましたが、2024年2月以降は平均2%台で推移しており、2025年以降は2%を下回る低水準が続きました。
カナダは、最大の貿易相手国である隣国のアメリカとの繋がりが強く、アメリカ経済の影響を受けやすいことが特徴です。アメリカの景気が良くなるとカナダ経済も良くなる傾向があり、反対にアメリカの景気が悪くなるとカナダ経済も悪化する傾向があります。また、カナダは天然ガスや原油など豊富な資源に恵まれていることから、カナダの通貨のカナダドルは資源国通貨としての側面があります。カナダドルはアメリカのWTI原油の動きに連動する性質があり、原油価格の変動はカナダ経済に影響を与えるため、カナダの景気動向をチェックする際は原油価格にも注目してみましょう。
XM 原油取引の詳細はこちら政策金利は、ファンダメンタルズ分析に取り組むうえで欠かせない重要な経済データです。特に、利上げや利下げによって金利水準が変わるタイミングは、相場が大きく動きやすい局面でもあります。こうした局面は利益を伸ばすチャンスである一方、予想外の値動きによって損失が発生しやすいタイミングでもあるため、事前の準備とリスク管理が重要です。ここでは、政策金利の発表をトレードに活かす際の考え方を整理し、安全性を意識した戦略を紹介します。
政策金利の発表前には、重要な経済指標の結果や要人発言などの情報をもとに、次の金利水準を予測する動きが広がります。こうした局面では、様々な経済データの情報をもとに発表内容を先読みして、あらかじめポジションを仕掛けておく方法が戦略の1つです。特に、ファンダメンタルズ分析は中長期的な戦略に適した分析方法になるため、政策金利の変動を見据えたスイングトレードやポジショントレードで挑む際に有効な戦略です。
ただし、政策金利の発表前にポジションを仕掛ける場合、市場の織り込み度合いを正確に把握し、ファンダメンタルズ分析の精度を高める必要があるため、初心者の人には難易度が高い戦略でもあります。ファンダメンタルズの方向性を正確に把握できなかったり、十分な相場分析なしにポジションを保有してしまったりすると、ギャンブルに近いトレードになってしまう点に注意が必要です。結果次第では相場が反転して大きな損失を抱える可能性があるため、そういった損失リスクを承知の上で挑む戦略であることも理解する必要があります。
事前に政策金利を予測してポジションを仕掛ける際には、以下のような情報に注目しましょう。
中央銀行が政策金利を決定する際には、様々な経済データに注目しています。その中でも、金融政策を判断するうえで特に重要視される経済指標に注目することで、今後の政策金利の水準を予測しやすくなります。各国の政策金利の水準を予測する場合は、以下の経済指標に注目してみましょう。
各国の経済指標の発表スケジュールは、経済指標カレンダーで確認することができます。特に、CPIと雇用統計は市場参加者からの注目度が高く、各国の中央銀行が動向を注視している重要指標であるため、政策金利を予測する際には必ずチェックしましょう。
政策金利の発表が近づくと、各国の要人発言の内容が注目されやすくなります。特に中央銀行の総裁や常任理事などの発言は金融市場へ与えるインパクトが強いため、発言をきっかけに政策金利の見通しが変わったり、相場が大きく変動したりするケースが少なくありません。
要人発言から政策金利の方向性を見極めるためには、発言をした人物の金融政策スタンスや発言内容、相場への影響力の大きさに注目することが重要です。各国の金融政策決定会合に参加する中銀関係者は、物価安定を重視して引き締め的な政策を支持する「タカ派」、経済を重視して緩和的な政策を支持する「ハト派」、中間的な考えをもつ「中立派」に大きく分けられます。例えば、発言の影響力が大きいタカ派メンバーが「インフレを抑えるために利上げをするべき」といった内容を発言した場合、次の会合で政策金利が引き上げられると考える人が増え、利上げ予想が優勢となる可能性があります。また、ハト派や中立派を含む多くのメンバーが利上げを支持する内容を発言した場合も同様に、政策金利が引き上げられる可能性が高いと考える人が増え、利上げ予想が優勢になりやすい点が特徴です。
タカ派
タカ派は、金融引き締めに積極的なスタンスをとる人のことを指します。景気の安定よりも物価の安定を重視する考え方のため、利上げに積極的な傾向があります。
ハト派
ハト派は、金融緩和に積極的なスタンスをとる人のことを指します。物価の動向に警戒しつつも、景気を安定させることを重視する考え方のため、利下げに積極的な傾向があります。
中立派
中立派は、明確にタカ派やハト派のスタンスをとらず、中立的な考え方をもつ人のことを指します。中立派の中にもややタカ派寄り・ややハト派寄りなど様々なスタンスがあり、その時の物価や景気の動向に合わせた政策を支持します。
要人発言から利上げの可能性が高まるとその国の通貨が買われ、反対に利下げの可能性が高まるとその国の通貨が売られる傾向があります。要人発言後の為替相場の反応からも、市場参加者の政策金利の見通しを把握することができるため、誰がどのような発言をしたかという点に注目し、相場の反応を見極めましょう。
政策金利の発表後の値動きが整理された段階で方向性を確認し、流れに沿って判断する方が、理にかなったアプローチといえるでしょう。
政策金利の発表直後は一時的な乱高下が起こりやすく、短期的な値動きに振り回されるリスクが高まります。発表後の急変動を回避し、方向性が明確になったタイミングで相場の流れに合わせて取引する方が、リスクを抑えて落ち着いた判断がしやすくなります。政策金利発表後にトレードを行う場合は、初動の乱高下が落ち着き、相場の方向性が明確になってからトレンドフォローで挑む戦略がおすすめです。トレンドフォロー戦略としては、トレンド方向と同じ方向に押し目買いや戻り売りを仕掛ける手法などが挙げられます。
トレンドフォローはシンプルな順張り手法なので、初心者の人でも挑戦しやすいメリットがあります。うまくトレンドに乗れると、損失リスクを抑えながら利益を大きく伸ばすことが可能となりますので、政策金利発表後の方向性を見極めて効率的なトレードを実践しましょう。
政策金利の変動はその国全体のさまざまな金利に影響を与えるため、金利を重視した運用を行う人には特に注目されます。FXトレードにおいては、スワップポイントの獲得を狙った運用の際に特に注目される傾向があります。
スワップポイントとは、FXで異なる通貨同士を取引する際に発生する通貨間の金利差のことです。一般的に、高金利通貨を買って低金利通貨を売った場合はプラススワップが発生し、利益として受け取ることできます。一方で、低金利通貨を買って高金利通貨を売った場合はマイナススワップが発生し、スワップポイントの支払いを求められます。
スワップポイント運用の際は、金利差が大きい通貨ペアを選ぶことで、効率的に利益を積み上げることが可能です。政策金利が変動した場合、通貨間の金利差も変動するため、より金利差が広がりスワップポイントの利益を増やせるチャンスとなる可能性があります。ただし、スワップポイントを運用する際は、為替レートの変動によるリスクも想定しておくことが重要です。高金利通貨を保有してコツコツ積み上げた利益でも、通貨が大きく下落すれば、為替差損によって最終的な収支がマイナスになる可能性があります。また、想定以上の急変動でロスカットになるリスクもあるため、証拠金維持率に十分な余裕をもたせた資金管理が重要になります。スワップポイントの収益を狙う際は、金利差だけでなく相場のボラティリティや資金管理にも十分に配慮することが大切です。
長期目線でコツコツと利益を積み上げたい人は、リスクを理解したうえで、金利差を活用したスワップポイント運用に取り組んでみてください。
XMTrading(エックスエム)では、一部の銘柄にスワップフリーが適用されるため、マイナススワップによる損失を回避することが可能です。スワップポイントは日を跨いでポジションを持ち越した際に発生するため、マイナススワップの銘柄を長期保有すると、日を追うごとに損失が積み上がってしまいます。スワップフリーはプラススワップによる利益を受け取れないデメリットがありますが、為替差益の獲得を目的とする通常のトレードでは、損失を回避できることが大きなメリットです。
XMのKIWAMI極口座では、FX通貨ペアの一部の銘柄と貴金属CFDの一部の銘柄にスワップフリーが適用されます。トレーダーからの人気が高いUSDJPY(米ドル/日本円)やGOLD(金/米ドル)もスワップフリーが適用されるため、中長期的なトレードを検討する際はXMのKIWAMI極口座をぜひご利用ください。
XM スワップポイントの詳細はこちら政策金利の発表は、世界中の多くの金融関係者や投資家が注目する重要イベントです。そのため、発表後は急激な値動きが発生したり、予測できない相場状況になったりするので、リスク管理を徹底してトレードに挑むことが大切です。政策金利発表時の注意点をあらかじめ理解し、リスクを最小限に抑えたトレードを行いましょう。
政策金利の発表によって相場が大きく変動すると、通常時よりもスプレッドが拡大したり、スリッページが発生したりするリスクが高まる点に注意が必要です。
スプレッドとは、通貨ペアの買値(Ask)と売値(Bid)の差額のことを指します。スプレッドはFXトレードの際に発生する取引コストになるため、スプレッドが広いほど取引コストが大きくなる仕組みです。スプレッドは、市場の流動性が低下した場合や、相場が不安定な動きになった場合に広がりやすい特徴があります。そのため、政策金利の発表時に相場の急騰・急落が発生すると、通常時よりもスプレッドが大幅に拡大する可能性が高まる点に注意が必要です。
また、相場の値動きが不安定な状況では、スリッページ(注文価格と約定価格のずれ)が発生するリスクも高まります。政策金利発表直後のような急変動時には、想定より不利な価格で約定してしまい、損失が拡大する場合があるので注意が必要です。スリッページを完全に防ぐことはできませんが、不利な価格で約定することを考慮してロットを普段より小さくしたり、ストップロスを広めに設定したりなど、対策によってリスクを軽減できます。
政策金利の発表に限らず、主要な経済指標の発表時にはスリッページやスプレッド拡大が同時に起こる可能性もあるので注意しましょう。
XMTrading(エックスエム)では、リクオートや約定拒否なしで100%の注文執行を実現します。さらに、全注文の99.35%を1秒未満で執行する高い約定力を実現するため、少しでもスリッページのリスクを減らしたい人におすすめの海外FX業者です。XMが提供するKIWAMI極口座では、取引手数料無料と極小スプレッドによる優れた取引環境で、コストを最小限に抑えたトレードが可能となります。取引コストをできるだけ抑え、安定した取引環境でFXトレードを始めたい人は、XMのKIWAMI極口座を開設してみてください。
XM スプレッドの詳細はこちら政策金利の発表後には、各国の中央銀行総裁の記者会見が行われることが一般的です。政策金利の発表時には、その会合で決定した政策金利の水準以外に、決定内容の詳細や今後の経済見通しを記載した声明文が同時に発表されます。発表直後には、政策金利の水準や声明文の内容から、相場が初動の激しい値動きを示す場合が多くあります。しかし、その後の中央銀行総裁による記者会見の内容を受けて、それまでの値動きから一転して異なる値動きを示す場合も多い点に注意が必要です。
例えば、2025年9月17日にアメリカの政策金利が発表された時のUSDJPY(米ドル/日本円)の値動きに注目してみましょう。2025年9月のFOMCでは、アメリカの労働市場の状況が悪化していることを主な理由に、FRBは2024年12月以来となる利下げを決定しました。政策金利発表直後は一時的に約70pips程度の急落が発生しましたが、発表から30分後にFRB総裁の記者会見が始まると、今度は買いの力が強まり上昇しています。これは、FRB総裁の記者会見の内容が想定以上に利下げに慎重なタカ派的な内容であったため、次回以降の利下げの可能性がやや後退し、米ドル売りが強まったことが要因です。
2025年9月17日のUSDJPY(米ドル/日本円)5分足チャート
政策金利の発表時は、中央銀行総裁の記者会見の内容から、最終的に相場がどのような動きを示すのか確認することが大切です。政策金利発表直後の初動に飛び乗ってしまうと、その後の記者会見を受けてエントリー方向とは反対方向に大きく変動する可能性があるため、損失リスクが高まります。初動の値動きでトレードを仕掛ける場合は、数秒から数分程度で取引が完了するスキャルピングトレードをうまく活用し、リスクを抑えたトレードを実践しましょう。
政策金利が発表されるタイミングは相場が大きく変動する可能性が高いため、短時間で大きな利益を得ようと考えるトレーダーもいます。しかし、資金管理や相場分析を怠ったり、初動の値動きだけを見て飛び乗ったりしてしまうと、一度に大きな損失が発生するリスクが高まる点に注意が必要です。トレード戦略やリスク管理が十分に行われていないトレードは、運に頼ったギャンブルトレードになってしまうので、明確な根拠をもって計画的なトレードを実践しましょう。
その時の相場状況やファンダメンタルズの状況次第では、相場の動きが予測しにくく、政策金利の発表時にポジションを仕掛けにくい場合があります。そういった場合は無理にエントリーせず、次のトレードチャンスが来るのを待つことも大切です。為替相場は24時間動いており、政策金利以外にも相場への影響力が大きい経済指標は多くあるので、トレードチャンスはたくさんあります。少しでもエントリーの判断に迷う状況であれば、リスクのあるトレードは避け、次のエントリーチャンスが来るまで静観しましょう。
政策金利や雇用統計などの重要指標発表時は相場が大きく変動する可能性が高いため、指標発表直後の急騰・急落を狙って取引するトレーダーも多くいます。しかし、海外FX業者の中には経済指標発表後の不安定な相場のみを狙った取引を禁止しているブローカーもあるため注意が必要です。
XMTrading(エックスエム)では、経済指標発表後の急変動を狙ったトレード自体は禁止されていませんが、指標発表直後のタイミングのみを意図的に狙ったトレードは規約違反と判断される可能性があります。XMの禁止事項に該当する行為が確認されると、口座凍結や出金拒否などの厳しいペナルティが課される可能性がある点に注意が必要です。経済指標発表後のトレードに挑む機会が多い人は、FX業者が定める利用規約をあらかじめ確認し、規約違反と判断されないよう注意しましょう。
XM 禁止事項の詳細はこちら各国の政策金利の発表は、金融市場全体に大きな影響を与えます。政策金利の変動は、金融市場のみならず様々な金利や物価にも影響を与えるため、私たちの生活に大きく関わる重要な経済データです。
政策金利発表時の値動きは、相場への事前の織り込み度合いや中央銀行総裁による記者会見の内容なども加味する必要があるため、より丁寧なファンダメンタルズ分析が求められます。雇用統計やCPIなどの重要指標にも注目し、各国の経済情勢について広い視野で分析しましょう。
XMTrading(エックスエム)では、国内FXよりも遥かに高水準となる最大1,000倍のハイレバレッジが適用されるため、少額の資金からFXトレードに挑戦することができます。また、今なら15,000円分の口座開設ボーナスが獲得できるチャンスなので、入金不要でXMでのトレードを体験することが可能です。この機会を逃さずに、XMでリアル口座を開設して、お得にトレードを始めてみてください。
作成日
:
2025.10.29
最終更新
:
2025.11.05
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